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「ブルーノの滝」自註 [方法詩]

自作詩篇「ブルーノの滝」(『文学界』11月号「扉の詩」)について、自註を予告していたのに、すっかり遅れてしまった。もうすぐ12月号になるではないか。ということで、自註というよりは、最低限の情報めいたものを提示しておく。もちろん、その程度のことなど、無用という人も多いだろうが。

1  トマス・アクィナスは畢生の大作『神学大全』を未完のまま放置することになった。その理由として、トマスが恐ろしいものを見てしまったからだといわれているが、その恐ろしいものの中に、自分の著作にもとづいて火刑に処せられる者たちの光景を挙げる人もいる。ちなみに、ブルーノはトマスの著作を熱心に読んでいたという。

2  ブルーノの生地は南イタリアのノラ、ジョイスの妻の名もノラである。

3  ジョイスは、若いころ、トマスの哲学にのめり込んでいた。トマスの哲学から抜け出すに当たって、ブルーノの哲学がひとつの大きな手がかりとなったといわれている。事実、ジョイスは、近代の哲学者としてブルーノを高く評価すべきだと考えていたし、『フィネガンズ・ウェイク』でも、ブルーノにちなむ表現は、哲学者に関する中では圧倒的に多い。「ブルロブルロ」もそのひとつで、火刑に処せられるブルーノを示唆している。ちなみに柳瀬尚紀訳では、その箇所は「炙ルーノ」。

4  『フィネガンズ・ウェイク』は、riverrunで始まり、theで終わる。
  


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