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かわいそうなゴンゴラ [まぶさび密誌]

昨日の朝日新聞(夕刊)にボストン美術館展(京都市美術館)のコラムが出ていて、ベラスケスによる《ゴンゴラの肖像》が触れられていました。
ところが、解説文を見ると、この大詩人をアルゴテと名指ししているではありませんか。
絵の正式名称にある《ルイス・デ・ゴンゴラ・イ・アルゴテ》から、勝手に解釈したのでしょうが、そこからはこの文の書き手が、ゴンゴラのことも、スペイン人の名前の規則も知らないことが見え見えで、なんだか悲しい思いに誘われました。
ヨーロッパの詩人で、イズムを付けられて普通名詞化されたのは、ペトラルカとゴンゴラしかいないということを、わたくしめは、たびたび言ってきましたが、まことに及ばずながらを実感するほかなかったという次第です。
スペイン人の名前は、父方の姓+y+母方の姓、で記されることが多いのですが、ゴンゴラの場合、母方の姓を先にしたそうです。
いずれにせよ、先にしたほうの姓で呼ばれる慣例なので、やはりゴンゴラと呼ぶべきでしょう。
であればこそ、普通名詞化され、ゴンゴリスモと呼ばれもするわけで、だれもアルゴティスモなどとは言わないわけですね。
いちおう大新聞の記事なのに、この程度のことぐらい、誰も注意しないのでしょうか。
かえすがえすも、ゴンゴラが、そしてベラスケスが、さらにいえば天才たちの溢れるスペイン文化そのものが不当な扱いを受けているようで、悲しく思われてくるのです。

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