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ぽぽのあたり [まぶさび密誌]

たんぽぽのぽぽのあたりをそっと撫で 入り日は小さき光を収ふ (河野裕子)

この歌、すばらしいでしょ。
作者の河野裕子さんが、今月12日に亡くなったと聞いたときは、ほんとうに驚いたものでした。
60代前半という、現代では早すぎる死といってよいでしょう。

たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ

これは、坪内稔典さんの句。
このブログでも紹介した古い言い方によると、みごとな「点化句法」による作、ですね。
でも、たんぽぽのぽぽのあたり、という表現を思いついただけでも、すごいのに、夕日が一日の光を惜しみながら少しずつ消えていく歌に仕上げていった繊細な力量には、息をのむほかありません。

花のうへにしばしうつろふ夕づく日入るともなしにかげ消えにけり (永福門院)

しずかに消えていく入り日を詠んだ歌として、この永福門院の名歌に通じるものといってよいでしょうね。
河野裕子さんは、わたくしめが京都芸術センターで展覧会を開いたおり、ご夫婦でオープニングにいらしてくださいました。
それが一度きりの出会いとなってしまいましたが、忘れられないおひとりでありつづけるはずです。

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